高校に出張子ども食堂 群馬・安中市の大塚さん、
毎週水曜に榛名高で弁当やパン販売
群馬県高崎市の榛名高(天田徹也校長)に、毎週水曜日にやって来る総菜店がある。群馬県安中市の大塚敬子さん(75)が、弁当やパンを安価で販売する子ども食堂の出張店舗だ。出張型の子ども食堂は珍しく、小規模校のため採算面から出店事業者が見つかりにくい同校にとって、育ち盛りの生徒に昼食を提供する大切な存在となっている。
大塚さんの子ども食堂は毎週水曜日、校舎1階の職員室の隣に開店する。昼休み開始直後から、この時間を待ちわびた生徒が続々と集まってくる。パック詰めのサンドイッチにおにぎり、唐揚げ。揚げギョーザやアメリカンドッグなども並ぶ。価格はほとんどが100円で、人気の揚げパンは50円。生徒はお目当ての品を次々と買い求める。
「カレーは、かけ放題だよ」。総菜類に加え、大塚さんはカレー弁当やのり弁などのメニューも調理し、にこやかに応対する。採算はぎりぎりだが、「すごく反応が良くてね。動けるうちは続けたい」と生徒の笑顔を励みに頑張っている。
大塚さんは2年前、自宅の一部を改装して子ども食堂を開いた。地域の子どもや障害者、お年寄りに食事を提供している。水曜日を除く平日は松井田高で弁当を販売。多忙な中、3月まで同校の教頭だった天田校長との縁もあり、榛名高への出店を引き受けた。義理の娘の千織さん(49)が運転する車で、安中市松井田町二軒在家の自宅から山道を30分ほどかけて通う。
天田校長は同校に赴任した4月、パン店が毎週木曜日にしか出店しない現状を知った。全校生徒約200人の小規模校で、採算面などから出店事業者がなかなか見つからないからだ。昼食を持ってこない生徒のためにも、校内で昼食を購入できる機会を増やしたいと考え、大塚さんに協力を依頼した。
出張型子ども食堂は、5月の大型連休明けから始まった。大塚さんは安中市子ども食堂連絡協議会の支援も受けながら、ネットワークを駆使して食材を調達。利益は度外視して活動している。天田校長は「本当にありがたい」と感謝する。
同校3年の青木美空さん(17)は「たくさんの種類があって毎回楽しみ。本当に助かっている」と笑顔で話す。多くの善意に支えられた小さな学校の取り組みは、次代を担う生徒の記憶にしっかりと刻まれる。
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